幻に終わった人民オリンピックを調査する広告マンを描いた逢坂剛さんの「幻の祭典」を読みました。
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作品情報
出版社、出版年月等
単行本;1993年 新潮社
文庫本;1996年 新潮文庫、2002年 文春文庫、2010年 徳間文庫
あらすじ等
1992年、バルセロナ・オリンピックの開幕を間近に控え、広告会社アデックスの社員、重堂と制作会社クルス企画の社長、久留主は、1936年に計画が進められていた人民オリンピックを調査していた。
1936年、ベルリン・オリンピックに対抗して企画された人民オリンピックがなぜ「幻」に終わってしまったのか。様々な妨害を受けながら、調査を進めると・・・・・・。
雑感(ネタバレあり)
20年以上前の作品ですが、東京オリンピックと意外な接点もあり、楽しめました。
(以下、ネタバレあります。)
逢坂剛さんの作品では多く描かれているスペイン。この作品も主にスペインが舞台です。
1936年、ベルリン・オリンピック、1964年、東京・オリンピック、1992年、バルセロナ・オリンピック。
作品の中でも触れられていますが、この3回のオリンピックは、それぞれ28年ほど空いています。(2020年の東京・オリンピックも、バルセロナ・オリンピックから28年ほど空いています。まぁ、偶然でしょう。)
1936年、ベルリン・オリンピックに対抗して、スペインのバルセロナで人民オリンピックが開催されようとしていました。しかし、スペイン国内の内戦ぼっ発により「幻」となり、開催されませんでした。
「この人民オリンピックに参加しようとした日本人がいる」という情報を得るところから、この物語は始まります。
1936年、1992年と2つの物語が進行し、スペイン国内の政治的な対立が描かれるので、ちょっと複雑なのですが、とても楽しめました。
平和の祭典と言われるオリンピックが政治的な対立の火種となるスペイン国内の政治情勢が良く描かれていると思います。実際の情勢の一部しか描けていないかと思いますが、描かれている部分だけでも相当に複雑です。
スペインに興味のある人は、是非、読んでみてください。