蝦夷地での戦いを描いた船戸与一著の「蝦夷地別件」

蝦夷地別件-アイキャッチ

蝦夷地での和人とアイヌ民族の戦いを描いた船戸与一さんの「蝦夷地別件」を読みました。

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※ この記事は税理士かわべのブログで掲載してものを転載し加筆・訂正したものです。


作品情報

出版社、出版年月等

単行本;1995年 新潮社

文庫本;1998年 新潮社文庫、2012年 小学館文庫

あらすじ

18世紀末の蝦夷を和人とアイヌ双方の立場から描く。

和人のアイヌ民族に対する締め付けが厳しくなるなか、国後のアイヌ民族は、和人への戦いを決意し徐々に準備を始めていく。その蝦夷地に2人の和人が訪れ、アイヌ民族と徐々に関わりを深めていく。和人、アイヌ民族、双方の思惑が入り乱れ、いよいよ、松前藩とアイヌ民族と戦いが始まる。

第14回日本冒険小説賞 受賞

 

雑感

船戸与一さんの作品で最初に読んだのは『山猫の夏』。この作品は、20代だった私にはかなりインパクトがあり、とても楽しめました。それ以来、船戸与一さんの小説を読むようになりました。

(以下、ネタバレあります。)

 

 

 

 

 

 

ネタバレあり

この『蝦夷地別件』は、とても読み応えのある大作なので、じっくりと読み進めるのがおすすめです。

『策士』という言葉がぴったり合う和人が描かれています。最初は何の目的で蝦夷に来たのかわかりません。徐々に彼の策が明らかになっていくところに、ドキドキしながら読みました。

また、その和人と対比するような朴訥な印象を受ける和人の僧も描かれています。アイヌ民族のために薬に関する知識を活かして療養所を開設しますが、とある老婆の思惑によって彼が思い描いていた暮らしとは別の生き方を選択せざるを得ない状況となってしまいます。

そのほか、アイヌ民族の若者や長となる人物まで、かなり多くの人物をとても細かく描いていて共感や反感を覚えながら物語にすっかり嵌ってしまいました。

船戸与一さんの渾身の一作ですね。

 


おまけ

アイヌ民族に関連して次の作品にも期待しています。(まだ1巻しか読んでいませんが)


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今日も関東は暑いですね。書棚のキャパが不足がちなので、久々にじっくりと整理をしました。この2日間ぐらいで100冊とお別れを・・・。
余裕があれば取っておきたいのですが・・・残念。