骨にまつわる様々な人生を描いた京極夏彦さんの「狂骨の夢」を読みました。
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作品情報
出版社、出版年月等
ノベルス;1995年 講談社ノベルス
文庫本;2000年 講談社文庫
分冊文庫;2005年 講談社文庫
愛憎版(四六版);2006年 講談社
あらすじ
釣堀屋の伊佐間一成は、逗子に釣りに出かけ、海岸で海に花を手向ける妖艶な女性と出会い、その女性から骨にまつわる奇妙な話を聞く。
元精神科医の降旗弘は、教会に居候しているが、教会に来た宇田川朱美の奇妙な夢や体験を聞く。
小説家の関口巽は、同業者の宇田川崇から妻の奇妙な行動の話を聞く。
ばらばらに語られた話が、いつの間にか京極堂のもとに集まり、共通する髑髏の謎が解かれる。
雑感
京極夏彦さんの百鬼夜行シリーズの3作目です。久々に読み返しましたが、楽しめました。
(以下、ネタバレあります。)
ネタバレあり
このシリーズのなかでは、一般的には「魍魎の匣」の人気が高いと言われています。私は「姑獲鳥の夏」が一番のお気に入りでしたが、今回、この「狂骨の夢」読み返して、この作品が一番のお気に入りになりそうです。
このシリーズは物語り全体の謎やその種明かしよりも、京極堂、探偵、刑事、小説家などそれぞれのキャラクターが魅力的だと思います。
今回は、このシリーズ初登場の釣堀屋の伊佐間一成が旅をする描写から始まり、ぐっと引き込まれました。
なんともない描写ですが、このだらだらとした、なんともいえない行動が好きです。関口巽とは違う意味で世間と一歩間を取っている感じがたまりません。
また、関係がないと思われる物語が1つに集約していく物語の進行も好きです。
お寺に関する薀蓄や、フロイトの話など、難解な部分も多いですが、それもこのシリーズの魅力で、読み終わったばっかりなのに、また読み返したくなります。