幼児の命を奪ってしまった事故の真相に迫る父親の姿を描く貫井徳郎さんの「乱反射」

乱反射-アイキャッチ

幼児の命を奪ってしまった事故の真相に迫る新聞記者の父親の姿を描いた貫井徳郎さんの「乱反射」を読みました。

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あらすじ

幼児が事故に巻き込まれ亡くなってしまう。新聞記者の父親は事故の真相を探り始めるが……。

雑感

この作品の感想を書こうかどうか悩みました。前半部分は、登場人物が多く、ちょっと混乱したので、正直、その時点では「あまり面白くないな~」と思ってしまったからです。

でも、最後まで読んでみて、ブログを書こうと決めした。(以下、ネタバレあります。)











雑感(ネタバレあり)

前半部分は、事故に関係する人の事故前の行動や思いを書き綴っているので、あまり面白くないのですが、ここをしっかり読んでおくと、後半を楽しむことができます。

事故に関わる人物は多めです。(恩田陸さんの「ドミノ」に比べると少ないですが……)整理をしておくと良いかと思います。

私は、通勤時間や移動の合間に細切れに読んだので、物語が途切れ途切れとなり、正直、混乱しました。(文庫本1冊にかなり時間がかかったかも。)

幼児が事故にあった後、新聞記者である幼児の父親が事故の真相を調べ始めると、前半部分で描かれていた関係者の行動について、いろいろと考えさせされます。

事故の関係者のそれまでの行動を読み返したくなり、それぞれの行動が、日常で遭遇する出来事と重なる部分もあり、「もし、違った行動をとっていたら……」と思わずにはいられません。

「事故の関係者」と書きましたが、とらえ方は読者によって異なるでしょう。どこまでが事故の誘因事象なのか、判断は難しく、答えは人それぞれでしょう。登場人物が「自分だったら」と考えると、怖くなります。

最後の章もなかなかいいです。(ただの推理ものではないという印象となり、あって良かったと思います。)

幼い子供の事故の物語なので、読後は楽しい気分にはなりませんが、いろいろと考えさせられると思いますので、是非、読んでみてください。

作品情報

単行本;2009年 朝日新聞社出版

文庫本;2011年 朝日文庫

受賞

2010年 第63回 日本推理作家協会賞 長編及び連作短編集部門