探偵、榎木津礼二郎が主役の短編集。京極夏彦さんの「 百器徒然袋 雨」を読みました。
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あらすじ
主人公の「僕」は、悩み事を探偵に相談することになる。彼が訪れた薔薇十字探偵社には、「推理をしない」探偵、榎木津礼二郎がいるが……。
第一番 「鳴釜」 薔薇十字探偵の憂鬱
姪のために探偵事務所を訪れる僕。姪のために一芝居打つのだが・・・。
第二番 「瓶長」 薔薇十字探偵の鬱憤
鳴釜事件の礼を言うべく、探偵事務所を訪れる僕。 そこで、古物商に出会ったことから事件に巻き込まれる。
第三番 「山颪」 薔薇十字探偵の憤慨
隣に住む紙芝居屋のために中野の京極堂を訪れる僕。 そこで、関口などに出会ったことから事件に巻き込まれる。
雑感
とても好きな作品の1つです。(以下、ネタバレあります。)
雑感(ネタバレあり)
百鬼夜行シリーズを好きな人にとっては、よだれが出るほどたまらない作品かと思います。 私は大好きで何度も読み返しています。
百鬼夜行シリーズでは、主に関口が榎木津礼二郎の被害者(?)となりますが、この作品では新たに「僕」が登場します。(なぜ「僕」なのかは、読むとわかります。)
この「僕」は、関口ほど悲観的な生き方ではないが、どことなく暗く、世の中の端っこを歩いているような人物(という設定)ですが、関口と違った「味」があり、気に入ってしまいました。
また、この主人公の「僕」が榎木津や京極堂にいいように使われてしまうところも、なんとも言えずいい「味」になっています。 関口のようにひねくれておらず、素直に従っているところが、他の作品とは違った面白さになっています。
作品情報
ノベルス;1999年 講談社ノベルズ
文庫本;2005年 講談社文庫