ユニークな神経科医、伊良部一郎を描いた短編集の第二弾。奥田英朗さんの「空中ブランコ」を読みました。
(Amazonより)
(上の画像をクリックするとAmazonへ)
あらすじ
伊良部総合病院の地下にある神経科に訪れる患者は、神経科医伊良部一郎の変わった治療法(治療と言えるのか?)によってちょっとずつ症状が緩和され快方へ向かう。
収録作品
「空中ブランコ」
「ハリネズミ」
「義父のヅラ」
「ホットコーナー」
「女流作家」
雑感
とても楽しい作品です。(以下、ネタバレあります。)
雑感(ネタバレあり)
前作の「イン・ザ・プール」もかなり気に入って何度も読み返していますが、この作品もかなり面白い作品が収録されています。
代表作の「空中ブランコ」。患者は、サーカスの一員。伊良部先生が空中ブランコにチャレンジします。(私は、伊集院光さんのような体形の人を想像しながら読んでいます。)
「ハリネズミ」の患者は、やくざ屋さん。伊良部先生が手打ちの現場に……。
「義父のヅラ」の患者は、もと同級生。その友人といたずらし放題。
「ホットコーナー」の患者は、野球選手。打つ、投げるのロジックを考え出すと……。人間の体って不思議です。
「女流作家」の患者は……そのまま女流作家。
人の悩みは人それぞれ。どれも、他人からしたら「気にしなければ?」で済む内容かも知れませんが、本人にとっては、苦しく、つらい状況。
伊良部先生の言動と行動が、ちょっとずつ解きほぐしていく。その過程がとてもよく描かれています。
作品情報
単行本;2004年 文藝春秋
文庫本;2008年 文春文庫