昭和39年の東京オリンピックの年に起きた殺人事件を描いた東野圭吾さんの「魔球」を読みました。
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作品情報
出版社、出版年月等
ノベルス;1988年 講談社
文庫本;1991年 講談社文庫
あらすじ等
東京オリンピックが開催される昭和39年。春の選抜高校野球に出場した開陽高校野球部の捕手、北岡明が愛犬とともに何者かに殺された。
捜査一課の高間は、友人である開陽高校の野球部の顧問、森川や、エースの須田武志など関係者から話を聞くが、なかなか捜査は進展せず、第二の殺人がおこってしまう。
第一の殺人と第二の殺人で共通する「マキュウ」とは?
雑感(ネタバレあり)
1991年に文庫本が発行されていますが、私が購入したのは2017年9月1日の第79刷。多くの人に長年、愛されている作品のようです。
(以下、ネタに触れる部分、又は、ネタを推測できる記述があります。)
東野圭吾さんの作品には、明るく、心地よい幕切れと、悲しい、つらい幕切れがあるという印象を持っていますが、この作品は、悲しく、つらい最後でした。
この物語は、春の選抜シーンから始まります。(ここを読んでいるときは、その後の展開は全く予想できませんでした。)
その後、爆弾事件が描かれますが、この時点ではこの事件が高校野球や殺人事件とどのように繋がってくるのか全く分かりません。爆弾の構造まで図解されますが・・・この時点では爆弾事件の物語なのかと思いました。
次に殺人事件が描かれます。最初の春の選抜シーンに出てきた捕手が殺されてしまいます。バッテリーを組んでいたエースの須田武志とその弟、勇樹や捜査にあたる刑事を中心に事件の核心に迫っていきますが、次にエースの須田武志が殺されてしまいます。
ここらへんで、ミステリーを何冊も読んでいる人は、なんとなくですが、犯人が見えてくると思いますが、動機が見えてきません。東野さんの描き方がうまく、犯人がわかりそうで確定できない。動機はまったくわからない。
気になって、どんどん読み進めてしまいました。
とても楽しめました。
野球をやっている兄弟ということで「キャプテン」に出てくる五十嵐兄弟を思い出しました。(年齢が違いますが)
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この「魔球」は「このミステリーがすごい!88」で18位でした。この年のベスト10には、船戸与一さんの「伝説なき地」や原尞さんの「そして夜は甦る」など、私の好きな作品が多いですね。